-TIME-43

乃木坂の交差点三差路一画、
    弧の片を与えた無表情な閉じられた壁が建つ。
    赤坂、銀座…六本木、街はまだまだ毒を隠し持ち、
    それを人々は求め街にくり出した。
    その頃の東京は、日本のどの都市よりも色艶があり、
    不夜城の街だった。
    まだ東京の闇に魑魅魍魎となる魔物が潜んでいた、

    魅力ある80年代。
    そんな東京の乃木坂に、
    竹山聖率いるアモルフがコンクリートの塊を突き立てる。
    アモルフ、いや竹山聖が造り出す建築のコンクリートの肌あい、
    それは繊細さを秘め、中性的で不思議な存在感を持ち、
    なぜか、その肌合いは歌舞伎役者の女形にも似て、
    道行く人達を引き付けた。
    あの頃の乃木坂はデザイナーであふれていた。

  

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詩:往蔵稲史仁 写真:鈴木耐子

 


 

 

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